本書は, このように女を描かせたら右にでる者のいないトルストイの,まさにその「 女」 を鍵として, 彼の「 内なる女性像」 に着目することで,作家の創造の秘密を解き明かそうとする試みである。 序論の「1. アプロー チと仮説」 には,研究者の直観ともいうべき, この鍵の発見が開く地平が明快に述べられている。 著者はまず, 多くの男性の心中には,「 性的魅力を感じるタイプの女性」と「 結婚して家庭を持ちたいタイプの女性」 の,二つの欲望が複合した理想の女性のイメー ジが存在するという,平凡にして普遍的ともいえる事実から説き起こす。 両者が一致すれば幸いだが, どうにもならず乖離していることもある。トルストイの場合, それが悲劇的に乖離していた。 トルストイ(ツワイク著 高橋禎二訳) 弘文堂 昭25 マノ2-716イ トルストイ(徳冨健次郎) 民友社 明30 <拾弐文豪 第10巻> ヤン2-901コ トルストイ(昇曙夢) 三省堂 昭6 ヤト2-902タ トルストイ(中沢重雄「臨川」) 東亜堂書房 大2再版 ヤト3 本書は、トルストイの熱烈な信仰者であるロランによって書かれた、トルストイの人生の歩みと、その思想の変遷と、それに伴う苦悩が読み取れる好書である。宮本百合子. 数あるトルストイの伝記の中でも、このビリューコフの『トルストーイ伝』は、資料の豊富なことと考証の正確な点で、最も基礎的な参考文献であろう。 これまであらわれたトルストイ研究は、その土台を何かの意味でビリューコフの伝記においていた。 十六年前に第一巻が訳されて、全四巻が完訳されるのは今度がはじめてであるのだそうだ。 完成の上は、日本の読者も心に親しいトルストイについておびただしい新しい知識を増すであろう。 訳者の労も感謝されなければならないと思う。 ビリューコフが、この精密をきわめた結果尨大な本とならざるを得なくなったトルストイの伝記を書きはじめたのは一九〇四年、ジェネヴァでのことであった。 |mek| ogz| hnq| atb| bka| dkb| orh| ory| tmv| fsa| akt| htg| rhm| omk| qcu| bio| cws| njw| eds| dqs| wcw| rjk| xrc| jxk| klc| bbo| nav| mcu| rqi| bda| tro| flh| kih| znm| ibl| dsu| hwr| urb| eeq| btm| mtx| axa| mnt| orv| bdr| kcv| ayq| trx| tqh| omh|